産業廃棄物業界の新人トラック運転手の仕事と教育するコツは?

どの会社でも様々な事情で人の入れ替わりがあり、新しく入社した社員には教育が必要です。

そしてその教育には、先輩社員が日々の業務にプラスして、新人教育に時間を割り当てなければいけません。

特に産業廃棄物業界におけるトラック運転手は覚えることが多く、教育に時間がかかります。

そこで今回は、産廃業界のトラック運転手の仕事内容と教育の効率化について考えてきます。

目次

産業廃棄物業界のトラック運転手の仕事とは

まず初めに、産業廃棄物収集運搬の運転手の仕事は、事業をする上で発生した、法的に定められ 20 種類の廃棄物の収集運搬を行うことです。

廃棄物の種類によって収集運搬できる車種や各現場での収集方法が大きく変わるので、訪問する顧客のこれらの状況すべて把握する必要があります。

収集運搬ルートを覚えなければいけない

新人運転手の教育は、収集運搬ルートを覚える事からはじまり、入社して約 2 週間は先輩社員と一緒にルートを周り、道を覚えます。

最初の 3 日間は先輩社員が運転して各現場への行き方を説明頂き、メモを取りながら道を視覚的に覚えます。

4 日目ぐらいからは先輩社員が助手席に乗り、新入社員が実際に運転して収集コースを回ります。

車両の大きさ・長さ等の車両感覚・曲がった時やブレーキを踏んだ時の挙動や車両後方の振れ幅も学び、時間帯による交通の流れや一方通行規制、駐車位置、昼食や休憩する場所・トイレ休憩場所等やそのタイミングも覚えながら運転します。

現場では収集方法を覚えなければいけません

作業可能時間帯の制限や納品業者優先の現場では、安全な場所で路上待機したり、同僚の車両が同時に現場に到着した際の収集順序の譲り合いも頻繁にあります。

いざ収集となると、現場への入り方・開錠/施錠・作業手順(計量)・実際の搬出経路・収集のやり方・専用書類のマニフェストと日報の記入方法・作業後の現場からの出庫や移動中の悪臭・飛散防止方法を確実に実施します。

現場では、お世話になっているお客様や警備員・清掃会社のスタッフの方々への挨拶も大切です。

車種により収集した廃棄物の積み込み方も変わります

パッカー車の場合

パッカー車の場合は、基本的に廃棄物を車両後方から回転盤を使い廃棄物を箱状の車体に押込みますが、強力な油圧回転盤が巻き込むので危険です。

いざという時に巻き込まれない為には、緊急停止ボタンの位置や作動状況は常に注視する必要があり、これは大切な命を守るうえで一番重要です。

平ボディの場合

また産廃用平ボディトラック収集の際は、処理工場で荷下ろしをする際に効率よく行う事を念頭に置き、最初の現場からビン・缶・ペットボトル・廃プラ・発泡スチロール等種類ごとに荷台をエリア分けして積み込みます。

また、トラックの荷台にネットやシートを掛けて移動する際には、廃棄物が飛散し、後方車両の重大事故を誘発しないように注意しなければいけません。

荷下ろし場の清掃工場や産廃中間処理工場での作業も覚えます

パッカー車の場合

事業系一般廃棄物を収集したパッカー車は、その日のルート収集が完了したら清掃工場へ向かいます。

清掃工場に着いたら順路に従い専用カードを使い、車両用台貫に乗り総重量を計測して、日報とマニフェストを提出し捺印頂いてから回収した廃棄物の荷下ろしを行います。

荷下ろし後は、車両重量を台貫で計測して廃棄物の正味量が記載されたレシートを受け取ります。

後は会社に戻り洗車し事務所へ日報・マニフェスト・台貫レシートを提出して業務終了ですが、翌日作業の準備として、日報やマニフェストの準備、翌日乗車予定のトラックのタイヤや車両に異常がないかを簡単に目視チェックしておくと、翌朝の作業開始をスムーズに行うことができます。

平ボディの場合

産廃用平ボディトラックの場合は、客先で産業廃棄物を引き取った後、自社・他社の積替え保管所・中間処理工場で荷下ろしします。

荷下ろしが完了したら、当日乗車していたトラックを洗車し、事務所へ日報・マニフェスト等を提出して業務終了ですが、こちらもパッカー車同様、翌日の準備をしておくと翌朝の作業開始がスムーズです。

関連する法令も覚えておく必要があります

産業廃棄物を取り扱うにためには、いくつかの法令を確認・認識しておくことが必要です。

トラック運転手であれば、これらの法令は必ず認識しておかなければなりません。

✔ 廃掃法の法令順守

✔ 道路交通法の法令順守

これら以外にも産業廃棄物業はさまざまな法令がありますので、先輩社員などに確認しておくことがベストです。

これだけの業務をいきなり新人が完璧に行うのは難しい

これまでご紹介した通り、産業廃棄物収集運搬の運転手は、通常の物流業の運転手に比べ、把握しなければいけない内容が多岐にわたります。

その結果として、新人運転手への教育は、時間を掛けて少しづつ確実に業務を教える必要があり、社員が独り立ちするまでの教育にはとても時間がかかってしまいます。

だからと言って教育の時間を省いてしまうと、法令違反や事故につながる可能性があるので、新人ドライバーへは時間を掛けて少しづつ確実に業務を教える必要があります。

教育を効率的に行う方法は?

やはり人が行っている教育のシステム化が有効な手段です。

すべての業務をいきなりシステム化するのは難しいですが、一部業務だけでもシステム化することで、教育業務の改善につながります。

産業廃棄物業における収集運搬業務の効率化については、他の記事でもたくさん取り上げていますので、これらの記事をご参考にして下さい。

まとめ:産廃業界のドライバー新人教育について

今回は産業廃棄物業における運転手の仕事内容と教育に関して確認していきましたがいかがでしたでしょうか。

産業廃棄物収集運搬の運転手がどれほど多くの業務を習得しながら日々の収集運搬作業にあたっているかご理解いただけたと思います。

単純に廃棄物を収集しているのではありません。

先輩社員が新入社員に一遍に業務内容を教えると情報過多になって自信を無くしたり、廃棄物の匂いや労働が無理と突然 2 日目から来なくなったりしますので、辞められない為には徐々に楽しく教育して行きましょう。

先輩社員は先ず新入ドライバーに安心してもらう事や和やかな雰囲気作りが大切です。

そして産業廃棄物収集運搬ドライバーは社会衛生を保つことに貢献し、社会的に必要な環境ビジネスの一端を担っていると言う意識づけも必要ですね。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

目次