廃棄物を収集運搬するためには廃棄物収集運搬業許可が必要ですが、いざ許可を得たとしても収集運搬の仕事をいただくためには、他の収集運搬業者との競争があり、それを勝ち抜かなければいけません。
しかし収集運搬業における差別化はとても難しく、各社、とても頭を悩ませております。
そこで本記事では、収集運搬業における業務の実態と差別化が難しい理由について考えていきましょう。
廃棄物の収集運搬とは
廃棄物の収集運搬とはその名の通り、廃棄物の収集や運搬を行う業務を指します。
これらの業務を行うためには、廃棄物処理法に定めれている通り、各都道府県の知事または政令指定都市の市長からの許可である廃棄物収集運搬業許可を必ず取得する必要があります。
これは廃棄物には危険物が含まれていたり、汚泥や液物、固形物によって取り扱い・処分方法が異なったり、不法投棄が無いようマニフェストで管理されていたりと、廃棄物を取り扱う上で必要な知識や技術があるので、許可制となっています。
収集運搬業者の許可件数は
こちらの平成29年の環境省のデータをご覧いただくとわかる通り、1年間における新規許可件数が約12,000件となり、すでに許可を持っている事業者の数が約200,000社に及ぶことがわかります。
この数字から、廃棄物の収集運搬の業者数がすでに非常に多く、毎年の新規参入業者も非常に多いことがわかります。
廃棄物収集運搬業は他社との差別化が難しい
排出事業者は、収集運搬業者を選定する上でどの業者も許可を取得して業務を行っているので、廃棄物の収集・運搬の結果は変わらないだろうと考えることが多く、また実際に収集運搬の許可を持っている会社数が非常に多いので、会社毎の比較がしにくいのが現状です。
このような状況から、収集運搬業者は他社との差別化を図りたいのですが、実際には他社との差別化がとてもしにくい業務です。
差別化が難しい具体的な原因は?
ここに挙げたように、結局はどこの会社でも同じことができてしまうので、差別化が難しい原因となります。
実際にどのような差別化を行っているのか?
サービスでの差別化が難しい収集運搬業ですが、実際にどのようなことに配慮して差別化を図っているかというと、これらのサービスを強化するくらいしか方法がありません。
① 毎日の洗浄、月一度のワックス掛けで綺麗なパッカー車
② 収集時に現場周辺の近隣住民への挨拶
③ 交通規則に基づく安全運転
このように大きな差別化はとても難しいです。
価格で差別化を図る
収集運搬業者にとって通常業務やサービスでの大きな差別化が難しいので、どのように差別化を図るかというとやはり価格です。
【東京23区の価格の事例】
価格について東京23区の例を挙げると、収集運搬業者が顧客に提示できる上限が定められており、事業系一般廃棄物の上限価格(40円kg)となっています。
また収集した廃棄物の処理委託先である23区清掃工場への廃棄物処理費手数料が15.5円/kgかかるため、この差額内での単価設定が必要かつ、収集運搬にかかる燃料費の高騰などが原因でやりくりは益々大変です。
従って差別化要因でもある価格競争は、収集運搬事業者同士の適正価格を下げてしまい誰も徳をしません。
しかし価格が一番わかりやすい差別化になるので各社引取価格を下げざるを得ず、そのために利益率を上げるための効率的な業務を検討せざるを得ません。
利益率を上げるために配送ルートを見直そう
では利益率を上げるためにはどのようにすべきでしょうか。
それは現在の業務から大きな改善を行う必要がありますが、漠然に改善と言っても何からやっていいのかわかりません。
まずは自社の業務フローを整理する必要がありますが、その中でも配送ルートの効率化が業務改善にとってとても効果的です。
自動配車の仕組みを導入してドライバー任せの好きな道を使っていた今のやり方から変更してみましょう。
期待できる効果としてはこれらが考えられます。
このように人による非効率な配送ルートを見直すことで、様々なメリットが生まれるでしょう。
まとめ:廃棄物収集運搬業の差別化について
廃棄物収集運搬業における差別化が非常に難しい理由についてご理解いただけましたでしょうか。
廃棄物収集運搬業は、生活にとって欠かせない業務でありますが、登録業者数も多く、差別化も難しいことから価格競争に飲み込まれています。
事業を運営する立場の事業者にとっては、事業の継続のため、他社との闘いに勝ち残っていかなければいけません。
今回ご紹介した自動配車の導入も一つの改善事例ですが、まずは自社の業務の見直しを行ってみてはいかがでしょうか。
時代の流れは非常に早く、先手先手の対応が求められますので、気づいた今その時に素早く行動することをお勧めします。