これまで、環境DX化の課題と展望を概括し、環境DX化の検討の流れについて説明しました。
今回は、大手産業廃棄物処理業者の環境DX化の取組状況や、大手4事業者と意見交換した結果を踏まえて、実際の環境DX化の対応方策(ポイント)について解説します。
大手産業廃棄物処理業者における環境DX化の取組状況
産業廃棄物業者のDXについてより詳しく知るためには、各企業のご担当者様に直接お話を聞くほうが適切ですが、今回は、上場している産業廃棄物業界の大手企業、売上高の高い事業者をピックアップし、各社のHP情報、中期計画資料、株主説明資料などをもとに、DX化に関する事項を抜粋しております。
そのDX化の取組状況について、調べた内容を以下の表にまとめました。
限られた情報から把握できる内容は少ないですが、今回の調査結果として、廃棄物処理業者は、大手企業であっても、一部を除き、DX化の取組みは遅れており、DX化の位置付けすら明確になされていない状況であることがわかりました。
環境DX化の対応方策(ポイント)
前項で示した環境DXに関する内容以外にも、日常的な営業活動やその他の機会を通じて、大手産業廃棄物処理業者4社における環境DX化の取組状況についてお聞きする機会がありました。
各社の様々な状況はありましたが、取組内容について考察したところ、DXを検討するにあたり4つの重要なポイントがあることがわかりました。
① 経営トップ主導による実行
環境DX化は、会社経営戦略に大きく関わる為、事業部、企画・営業部、管理本部等の内部連携が必要になります。
そのため、会社総意としての活動となるため、経営トップ主導による実行がポイントとなります。
② DXを実行する体制の構築
DXを実行する体制は、DX事業推進部、DX推進担当(各部門)などによる執行体制の構築が必要です。
DX事業推進部においては、各事業や部門における課題の抽出を行うために、各事業や部門と横断的に情報交換を行う場を設けることが重要です。
DX推進担当者は、社内公募などを通じ、人材を見出すことが求められます。
③ DX戦略の策定
DX戦略の検討は、テーマを①事業プロセス改革、②ビジネスモデル改革、③組織・業務改革の3つに区分したのち、各事業や部門から得たアンケート調査をもとに、課題精査、施策立案・目標設定、デジタル施策などについて、討議を行います。
3つの構成要素の詳細については、次回の記事でご紹介いたします。
④ DX化の実行
実行は、「デジタル化によるビジネスモデルの変革と創造」という強い意志のもと、優先順位を設け、
ITベンダー含めた各企業と連携した取組みを行うことが重要です。
DXの取組に関しては、まだ検討し始めた段階の企業が多いですが、これらの4つのポイントを考慮したうえで、早期に対応していくことが求められる時代に突入していきます。
上記②にもありますが、まずは社内の体制づくりから始めてみるといいですね。
まとめ:次回、廃棄物処理業者における環境DX化の具体的な検討項目
今回は、大手産業廃棄物処理業者の環境DX化の取組状況と、実際の環境DX化の対応方策(ポイント)について解説しました。
次回は、「【第4回】産業廃棄物処理業者の環境DX化の具体的な検討項目は」という記事で、環境DX化の3つの構成要素となる①事業プロセス改革 ②ビジネスモデル改革 ③組織・業務改革 の具体的な検討項目について解説します。