

(写真:ステーション・あーる外観写真)
株式会社京葉興業様は、産業廃棄物の収集・運搬から中間処理、最終処理までを一貫して行う総合環境企業です。東京・福島・千葉・茨城・神奈川の7拠点で処理施設を運営し、優良認定や「産廃エキスパート」認定を多数取得。さらに、ISO14001や千葉県のSDGs認証も取得し、環境負荷の低減や循環型社会の実現に貢献しています。
その拠点の一つである「ステーション・あーる」は、廃棄物の適正処理とリサイクル推進を担う施設として、廃プラスチック類を中心に破砕や圧縮梱包処理を行い、高効率な処理を実現することで、循環型社会に貢献しています。
今回は、「ステーション・あーる」の工場長である三好和則様に、SparkEyeの導入背景や活用方法についてお話を伺いました。


(写真:破砕処理設備ライン)
「人」に頼らない早期の火災検知手段として
ー SparkEyeの設置状況について教えてください。
当社では、主に廃プラスチック類を破砕・圧縮する処理設備にSparkEyeを設置しています。監視場所としては、破砕後の搬送コンベア部を監視しています。SparkEyeが火花・火を検知すると、警報ブザー付きパトライトが連動し、警報と点灯で、近くの作業者に周知します。その後、作業者は緊急停止用のロープを引いてコンベアを停止させ、近くにある消火器を使って消火します。場合によっては、消火栓からの散水で消火をしています。


(写真左:搬送コンベア、写真右:SparkEyeカメラでの監視の様子)
ー SparkEyeの導入前は、発火に対してどのような状況だったのでしょうか。
破砕機直後に作業者を配置し、ビニール片が刃に絡まないように取り除く作業を行いながら、火の監視もしていました。破砕後のコンベアは高い位置にあるのですが、油圧ショベルの操縦者が監視できる範囲で監視していました。 また、圧縮梱包機の上部に煙検知器を設置し、機器による対策も行っていました。
これまでに発生した発火については、破砕機直後で作業者が早期に気づき、消火対応を迅速に行うことができたこともあり、工場設立から今までの11年間は火災事故には至りませんでした。しかし、発火自体は今でも発生している状況であり、火災リスクは依然としてありますので、さらなる対策として「人」に頼らない早期検知手段が必要だろうと考えていました。


(写真左:消火器、写真右:消火栓)
ー どういった発火が多かったですか。また、頻度はどれくらいでしたか。
リチウムイオン電池による発火がほとんどです。PCのバッテリー、携帯の充電器、何かしらのおもちゃ類など様々です。発火自体は、半年に1回程度ですが、こういったリチウムイオン電池含む電池類の混入は頻繁にあり、困っています。
ー リチウムイオン電池を破砕前に混入しないよう、どのような処理・工夫・対策をされていますか?
荷受け時には、袋に入った状態で受け取ります。その後、人が破袋作業を行い、手選別をして破砕前にリチウムイオン電池類などの不適合物を取り除いています。特に工事現場から受け入れるフレコンについては、バッテリー類の混入が多いことから、注意を払って作業を行っています。ただし、実際に発火していることから、作業者が注意して選別しているものの、完全に取り除くことは現実的には難しいというのが実状です。

(写真:手選別で除去されたリチウムイオン電池類)
決め手は、発火した瞬間を捉えられる検知の速さ
ー SparkEyeは何でお知りになりましたか。また提案を受けた印象はどうでしたか。
弊社の代表から「こんなのあるよ」と紹介してもらったことでした。その後、同業他社からも使っているお話を聞いたりしたりして興味を持ちました。提案を受けた際には、他の設置場所での火花や火の画像を見せていただき、「早く検知できるし、検知精度が高いな」という印象を受けました。
ー 他の対策方法もあったと思いますが、SparkEyeの決め手は何だったのでしょうか。
最大の理由は、発火した瞬間を捉えられる検知の速さでした。当社では、「人」に頼らない早期検知の手段を探しておりましたので、SparkEyeはまさにその要件に合致していました。検知スピードの速さに加えて、警報ブザー付きパトライトとの連動により、発報と同時に作業者が即座に消火対応に移れるという点も、実運用を想定した際に非常に有効だと感じました。
さらに、当社代表が最新技術の活用に積極的だったこともあり、AIを活用した高度な検知システムという点も、導入を後押しする決め手のひとつとなりました。
設置当日に検知!? 誰よりも早く気づかせてくれる検知力
ー 設置場所を決める際に、何か工夫はありましたか。
監視場所は、イーアイアイさんと相談させていただきました。他の会社様の事例をお聞きすると破砕機内の監視も多かったようですが、弊社の場合は、破砕機直後は作業者が監視もしていましたので、どちらかというと破砕以降の人の目が届きにくい、搬送コンベア部を監視しようという結論になりました。
ー 検知精度についてはどうでしょうか。
検知精度が良すぎました(笑)。最初は、AIの検知感度を一番敏感な状態で利用していたのですが、フィルム片の反射や光の反射など検知してしまっていました。我々の受入物の中には、こういったものが多く含まれるため、頻繁に検知してしまうと作業者の手が止まってしまうので、調整する必要がありました。イーアイアイさん協力のもと、AIが過剰反応しないように検知調整作業を行ってもらい、誤検知をほぼ無くすことができました。現在は安定的に運用できています。

(写真:フィルム片の反射による誤検知画像)
ー これまでに検知した事例の中で、特に印象に残っているケースがあれば教えてください。
SparkEyeを設置した当日にさっそく検知があったことですね。すぐに対応ができ、初期消火につなげることができました。このときは作業者もほぼ同時に気づいていたのですが、これまでの事例の中には、誰も気づいていない中でSparkEyeが検知し、火の存在を知らせてくれたときもありました。火が大きくなる前に対応できたことで、被害を未然に防ぐことができたので、助かりました。

(写真:設置当日の火の検知画像)
発火画像は、社内外の安全管理や啓発としても活用
ー SparkEyeを導入して、変化はありましたか。
実感しているのは、作業中の精神的な負担が軽減されたことですかね。どうしても作業をしながら同時に発火も気を配るとなると精神的な負担はかかりますし、作業に集中していたりすると、監視の意識が薄れてしまうこともあります。導入後は、万が一見逃してしまっても「SparkEyeが検知してくれる」という安心感がもてるようになりました。
実際に、誰も気づいていない中でSparkEyeが検知し、火の存在を知らせてくれたときもあったので、確実に監視の補完してくれていると感じています。
こうしたことから、以前よりもさらに安全で安心できる工場環境が実現できていると感じています。
ーSparkEyeをどのように活用していますか。
発火時の検知画像を抽出できる機能があり、その画像を社内外の安全管理や啓発に活用しています。社内では、発火時の報告資料や安全委員会での資料で使用し、社員のリスク意識向上につなげています。社外に対しては、排出事業者様に対し「リチウムイオン電池の混入により、このような発火が発生しました」という注意喚起や再発防止のための啓発に利用しています。



(写真:SparkEyeが捉えた火花、火の検知画像の一部)
今回取材に伺った私もこれまで度々、ステーション・あーる様を訪問しておりますが、いつも工場内が整理整頓されており、その徹底さに深い印象を受けております。導入前も火災事故「0」で安全操業できた理由の1つとして、こうした日頃の整理整頓も要因の1つだろうなと思いました。SparkEyeの設置で「安全面の強化」ができたという嬉しい声もいただきました。引き続き、サポートさせていただきます。
(撮影・取材・文・編集/ 大和田 篤)